8/12(月)晴れ

6時前に家を出る。快速で出勤。

大阪駅のセブンイレブンでコーヒーを買ったら、ゴミを入れる袋をくれた。

 

品出しをしながら泣いてしまう。事務所で休む。お姉さんが話を聞いてくれた。「つらい」と言ったら、すこしだけこころが軽くなった。退勤後、「また明日ね」と別れた。

 

もう消えちゃいたい。どうしようもないきもちになって、まゆみさんに電話した。「ももちゃーん」と電話に出てくれた。河川敷を歩きながら、小一時間ほど電話した。話して、聞いて、話して、聞いて、そうしていたら、かなしいきもちが薄れた。

 

寝る前にトラつばの毒饅頭回を観る。

「みんなつらいなら、わたしはむしろ弱音、吐くべきだと思う」とトラちゃんは言う。

 

今日、いい子のじぶんを見せてきたひとたちに弱音を吐いた。わたしは今までじぶんのことを話すのを避けてきた。弱いところを見せて、すこしだけ距離が近くなって、ふしぎなきもちになった。

 

いい子になれない私のことを

彼らはなんて言うだろうか

(羊文学/深呼吸)

 

8/13(火)晴れ

倉庫でこっそり泣いた。

帰る準備をする。連れてきたぬいぐるみが目に入った。頬が緩む。一緒にきてくれてありがとう。

 

ドトールで先週の日記を整える。アイスコーヒーを頼んだ。

たのしかった日のことをふりかえるのがこわい。でも、どんな結果になったって、わたしはじぶんの暮らしを書きつづける。書くために生きて、生きるために書いているから。

喫煙所の扉が開くたびにびっくりする。音がでかい。

 

8/14(水)晴れ 夜は雨

仕事に行けなかった。最後の角を曲がれなかった。すべてが怖くなって引きかえした。駅のそばのビルのベンチに座ってしくしく泣いた。

 

昼ごろ、あやかの家へ。痩せたねと言われる。

あたしも実習の帰りによく電車で泣いてた、人目なんか気にせずに、と言った。その話を聞いて、ふっ、と気が緩んだ。かなしみの大きさや種類、それを受けとめるこころはちがうけれど、かなしいのはわたしだけじゃない、と思えて、救われた。お兄ちゃんなんて「谷あり谷あり」の人生だよ、と話していたら、お兄ちゃんが帰ってきた。

 

それからいろいろ話を聞いてもらう。わたしがほしかった言葉をするするとくれて、共感してほしかったきもちに寄り添ってくれた。

「女の涙は男の暴力と同等」というなんとも言えない話を聞いて、はあ、そうかも、と思う。恋人の前で泣くことは一種のDVだったのかもしれない。

 

あやかとまた日曜ね、と別れる。

 

8/15(木)くもり

夜ごはんを食べたあと寝てしまったらしい。起きたら2時だった。消えたくなって、河川敷へ。川のそばでしゃがむ。死ぬ、死なない、死ぬ、死なない、死ぬ、死なない。何度も考える。十九のときの日記を読む。いまよりもずっと暗い。なのに死ななかった。あのときよりはつらくない、と思って、帰る。同じようにはやく起きてしまったまゆみさんと電話した。

 

退勤後、テアトル梅田へ。

映画までドトールで過ごす。お腹が空いた。ジャーマンドックを頼む。会計が五百円以上でくじを引けた。50ポイント当たった。何でも当たると気分がいい。ケチャップをかける。カゴメのケチャップだった。以前は「ドトールケチャップ」だったのに。いつ変わったのだろう。

 

夜風が心地よい。グランフロントの広場で弾き語りしているひとがいた。HYの「366日」を歌っていて〈やめてよ〉と思った。

 

『時々、私は考える』を観た。

2時から起きているのですこしだけ眠たい。話はおだやかに進んでいく。終盤でのキャロルの言葉が刺さる。現実を受けとめる、か。

 

サントラをかけて十三まで歩く。十三大橋を渡る。建物がきらきら光る。暮らしは止まっているように見える。進みたくても進めないことがある。でも、歩けば、からだは進む。歩いているとき、すこしだけきもちが軽やかなのはそういうわけか。今日は35000歩、歩いた。

 

8/16(金)晴れ

出町柳で落ちあう。まゆみさんの顔を見た瞬間、わっと涙があふれる。慰めてもらいながら、下鴨神社の古本市へ。かなしいきもちで本を見る。どれもほしいと思えない。お腹がぎゅ、と熱い。お腹が空いた。

 

昼はスマート珈琲店へ。

フレンチトーストを頼む。さっ、とメープルシロップをかけて、とめる。もっとかけなさい〜 自分を甘やかして〜 と言われ、もうすこしかける。ゆっくり食べる。話す。ひとりで電車に乗っているあいだ、消えることしか考えられなかったのに、話して、聞いて、と繰り返していたら、たくさんの可能性があることに気づく。人に会わないとだめだ、やっぱり。

 

商店街を歩き、店で服や雑貨を見て、そのあいだもずっと話した。

 

疲れてきて、すこし下り、「喫茶上ル」という古民家カフェに入る。入り口に「60分制」「写真は自分の食事のみ」という貼り紙があった。靴を脱いで入る。窓から高瀬川が見える。長閑だ。席は川のほうを向くように設けられている。ミックスジュースにアイスクリームがのったものを頼んだ。「ミックスジュースのアイスの、ほう……」と頼んだ。横を向いたらまゆみさんがにこにこ笑っている。「ミックスジュースはアイスしかないやろ〜」と言う。や、プラス150円でアイスをのせられるんです。あ、そういうこと。たしかに、変な頼み方をしたし、わたしはそういうミスを時折やる。

 

まゆみさんの買った本を見せてもらう。とても自由だ、と思った。つい、じぶんの好みの本を選んでしまうけれど、もっと冒険してもいいのだと気づく。まゆみさんと話していて、じぶんの生きている世界の狭さ、それも、狭いのではなく、じぶんで狭くしている、ということを知る。遠回しに「自由になってもいい」と言ってもらったような気がする。

 

なんの話だったか。「(知らない道を曲がって)行き止まりだったとしても、そこに行き止まりがあったということを知れる」というようなことを言っていたのが印象的だった。これからのお守りになると思う。

 

河原町駅で別れる。準急で帰る。

白杖を持ったひとが席の場所を確認している。端っこに座っていたふたり組の女性が声をかけて、席を教えた。席を教えたあと、女性の顔がふっとやわらかくなったように感じた。

 

乗り換えのため、十三で降りる。でも、自由になってみたくて、また梅田行きの電車に乗って、紀伊國屋へ。山頭火の日記を買った。かなしいときだけでなく、たのしいときも本を買おう。

 

8/17(土)くもり

帰りの電車で宝くじを買った。クイックワンというネットで買えて、すぐに結果がわかるものがあった。100円で買った。宝くじのことはよくわからないので、いちばん安いものにした。外れた。

 

どうしても母とうまくいかない。

喧嘩して家を飛びだす。河川敷へ。泣きながら歩いた。

 

橋の下で叔母[父の妹]と電話した。話を聞いてもらって落ちつく。

納骨はまだだと教えてもらう。まだしんどい、と言っていた。「またな、骨をすこし持ってかえり。もーこがパパのこといっちばんすきなん、あたしがいちばんわかってるで」と言ってくれた。「ありがとう」の声が震えた。うれしかった。父に対するきもちをずっと隠してきた。叔母になら、父との思い出を話せるかもしれない。

 

8/18(日)晴れ

あやかと四条へ。

電車で血液型の話をした。あやかは「O型に合わせるとじぶんも楽になるよ」と言った。血液型と性格にはなんの関係もないことは自明で、MBTI診断が流行っているのにまだ血液型の話をしているじぶんたちがおかしくて、でも、きっちりしているじぶんがおおらかなひとのペースに合わせる、そうしたら楽になれる、という捉え方はいいと思った。

 

MOVIXでチケットを買う。

チュリトス(シナモン)とホットコーヒーを頼んだ。映画館でチュリトスを買うのに憧れていた。けっこううれしい。あやかはポップコーンセットとホットドッグを食べていた。

 

『インサイド・ヘッド2 』を観た。

予告を見たときからじぶんに必要な映画だと確信していた。そのとおりだった。

エンディングの「プレゼント」を聴いて、どばばと涙があふれた。

 

永楽屋のカフェへ。

ゆずのシャーベットを頼んだ。おかきもついてきた。いつもなら選ばない。食欲がないからこそ選び、食べられたものだ。それもすこしいいと思えた。思えるようになれた。

 

OPAでかばんを買った。毛糸でできている。わたしはももいろのリボンの柄のものを、あやかはみどりのハートの柄のものを買った。年甲斐もなく柄違いのものを持つ。にこにこして特急に乗る。

 

最寄駅からあやかの家の車に乗せてもらった。あやかとそのお父さんのたのしそうな会話を聞いて〈イイナー〉と思っちゃった。

 

わたしは母のことを嫌いではないと思う。母とわたしの関係が嫌いなのだ。

抜けだしたい、ここから。

 

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