11/18(月)晴れ

夜中に繊細なじぶんと目が合った。目を反らしてツナマヨおにぎりを食べた。

 

11/19(火)晴れ

橋を渡っている。前を歩いているひとから白いけむりが出た。すぐに消えた。くさくない。煙草ではなさそうだ。もしかして、と思ってマスクを外して息を吐く。しろい。こころのなかで唱えている。

 

アレクサンダとぜんまいねずみ

レオレオニ 文、絵 たにかわしゅんたろう やく

たすけて、たすけて。ねずみよ。ひめいがあがった。つぎにはがしゃんがらがら、と大きな音。茶わん、おさら、スプーンが四方八方にとびちった。

 

わたしにとっての谷川俊太郎さんはこれなんだ、と思った。昼ごろ、雪だるまのマークのついたトラックを見た。走っているのを見かけることは少ない。走っている音だけがいつも聞こえる。

 

11/20(水)晴れ

目 目

  水

 

11/21(木)晴れ

冬はなんだかお腹が空く。特に今年は。K先生は「冬ってなんかお腹空かん?」と言いながら、お弁当の蓋を開けた。中学生のときである。K先生はわたしたちが三年生に上がるときに異動して、また母校に戻ってきた。中学生の妹もK先生を知っている。妹に「冬ってお腹空かん?」と聞いた。「空かん」と返事。K先生が言ってたんよ。ふーん。K先生ってさ、「キティちゃんと同い年」と全く同じタイミングで言った。めっちゃ笑う。先生の持ちネタなんや。

 

11/22(金)くもり

ラララと音楽を聴きながら線路沿いを歩く。一駅くらい歩こう。フェンスに平面的ツリーの電飾が施されていた。工事をしていてうまく線路に沿えない。iPhoneのバッテリーは17パーセント。Googleマップは電池を食う。電車はまだあるから、最悪、通ってきた道を引きかえせばいいか。てきとうに歩く。あかりのついた古本屋があった。ゆめ? 店の前の文庫本を一通り眺めて、おそるおそる戸を開けた。開いてる。開いてますか。いらっしゃいませ。店のひとがにょっと立ちあがった。わたしが入ってすぐサラリーマンも来店した。彼は何も買わずに帰った。まあ、たしかに趣味ではない。あらすじを見て気になったSF小説と丹後ちりめんのポストカードを買った。紺の袋に入れてくれた。ラララと音楽を聴いて帰ることにした。行きたかったライブのチケットは外れた。

 

11/23(土)晴れ

おでん

夜たべない人は

昼たべてもいいよ

 

と、冷蔵庫のホワイトボードに書いてあった。母からのメッセージだ。おでんを昼に食べたひとは夜に別メニューを用意してもらえるということ?と思いながら、レトルトカレーを温めた。

下の妹が黒のワンピースを着ていた。どっか行くの。打ち上げでサイゼ。

上の妹が緑のニットを着ていた。どっか行くの。ともだちと飲みにいく。

おでんを「夜たべない人」ってあなたたちのことだったのか。母と二人でおでんを食べた。値上がりしている卵の代わりにうずらの卵が入っていた。

 

11/24(日)くもりのち晴れ 昼、一時雨

温める時間も人との距離も間違えないように。何事にもちょうどよい加減というものがあります。

 

プチ大福〈冷凍〉:40秒

冷えた白米:45秒

白湯:50秒

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