11/11(月)晴れ
あるひとが「金井さーん」と言うとき「原さーん」と聞こえるときがある。ん、と思ってつづきを聞くとわたしではわからない業務のことで(ちがうな)となる。間違えて返事をしたわけではないのに顔が火照る。金井さんの定時は十四時半だ。金井さんが帰ったあと、あるひとに「原さーん、○○やってもらっていい?」と言われ「はーい」と返す。まわりのひとたちが「いま、金井さんって言った?」と言っていて、この聞き違いはじぶんだけが感じるものではないことがわかった。やっぱりそうなんだ。みんなで「金井と原ってあんまり似ていないのにね」と話した。
※「原」は本名ではないのでこれを書くにあたって、ふさわしい苗字(金井)を探しました
11/12(火)快晴
夜道をとぼとぼ歩いた。月がぼやけている。わたしが下を向いているから。それは水面に映るものだから。写真を撮った。なんの写真かわからない。スライドしたら、今朝見かけたシュウメイギクの写真が出てきた。すっかり忘れていた。ながいながいながい一日だった。
11/13(水)晴れ
寝不足だ。駅のローソンでレッドブルを買った。店員さんは「いってらっしゃーい」と言った。まだ飲んでいないのにココロ、カラダ、みなぎってきた。
職場のPCは静脈認証だ。勤怠を打つときに使う。いつも、なぜか、うまくいかない。手を反らしたり温めたりしてもだめだった。毎日、人を呼びにいって代わりにログインしてもらう。ボスの連休が明けたので登録しなおしてもらう。以前、登録したとき、機械の使い方を間違えていたことがわかった。正しく使ったら、一発で読みとってもらえた。ボスは「いけたやん!」とわたしの膝をバシンとはたく。そのはたき方が暴力でもセクハラでもなく、幼子にするようなものだったので思わず笑ってしまった。
退勤するとき「また明日ね」と言ってくれるひとがいる。金曜は「また来週ね」と言ってくれる。とてもうれしい。ここが居場所の一つになりつつある。
11/14(木)晴れ
「来年の年末年始も九連休やで!」
11/15(金)くもり
退勤後、ひとりで飲みにいく。夜のプロントはカフェの心持ちで入れる。サングリアを頼む。通勤の電車でメニューを見て、今日は絶対これにしよ、と思っていた。やってきたものを見て、目をぱちくりさせた。前もこれ飲んだわ。思考が同じルートを辿っている。やはりわたしはわたしである。お通しはピザラスクだった。これもすきだけど、前のバナナチップスをまた食べたい。二杯目を飲みはじめてから最寄り駅に着くまで、ツイートして消してツイートして消して、ということをくりかえしていた。駅前の信号を渡るとき、酔っていることにやっと気づいた。
11/16(土)雨のちくもり
散歩から戻り、手を洗う。中指の第二関節に絆創膏が貼ってある。ふっ、と笑ってしまった。この絆創膏は昨日の仕事中に貼ったものだ。おそらく紙かハサミで切った。エタノールが滲みるので貼った。貼ったときは関節の可動域が狭くなって不快だった。働いているうちに気にしなくなって、そのまま忘れていた。昨日の風呂で気づくやろ、とツッコむ。剥がす。(日記に書こ)と思いながら、それぞれの部屋にいる家族に喋ってまわった。
11/17(日)くもり
インスタントの味噌汁を入れた。
妹「先に、みそ開けちゃった」
原「入れる順番なんてどっちでもいいやん。とけるし」
母「具の袋にみその袋を入れたら、テーブルやゴミ箱が汚れへんやろ」
ほお、と思う。その視点はなかった。わたしは開けたものからゴミ箱に捨てていた。