余談
エッセイ - ひみつを捨てる
構想を練っているとき、ガラケーのことを思いだした。いま思えば、ガラケーのなかもひみつの空間だった。家のきまりで夜九時以降、スマホをじぶんの部屋に持ちこめなかった。むかし使っていたガラケーでアラームをかけていた。
電話もネットも使えないガラケー。これがかなりおもしろかった。メールの下書きに物語を書いたり、うまく電波が入る日はワンセグを見たりしていた。辞書機能も重宝していた。調べた言葉が履歴に残るのがうれしかった。スマホは親の監視下にあったのでなるべく履歴が残らないようにしていた。検索履歴にせよ、日記にせよ、「残る」という状態がすきだったのかもしれない。